TOC(制約性理論)を再読して、地場型中小建設業の存在意義を考えた。エリヤフ・ゴールドラット「THE Goal」

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◆私の書評 ★★★☆☆(3.5)

かなり以前に、一度いや数度読んだことがあった。2005年あたりだったろうか?

ちょうど、この本が大ベストセラーとなり、書店で平積みになったものが飛ぶように売れた。表紙を見ると読んだこと、見かけたことがある事を思い出す方は多いのではないかと思う。

◆TOC制約性理論。

全体の生産性(スループット)は、ボトルネック(ラインの中で一番能力が低いプロセス)の生産性に依存する・・・というもの。

例に例える。

ある製造ラインにABCDの4つのプロセスがあるとする。そしてその部品組み立て能力がそれぞれ、1日に、A10個、B25個、C50個、D250個だったとする。ABCDを組み合わせることで製品は完成するとすると、この製品Xは一日に何個製品が完成するか?

この場合答えは10個。Dプロセスで一日に250個フルに生産してしまうと、毎日240個の仕掛り材料(製品)が出来上がり続けるのに出荷できる製品は10個ずつという、エライ事になってしまう。

この例の場合、プロセスAにあらゆる手段、工夫を投じて「Aの出来上がり個数(生産性)」を高めてあげる。Aが15個まで引き上がれば全体の製品出荷数も15個となり、20個まで引き上がれば全体のスループット(完成品産出数)も20個となる。

ボトルネックの生産性向上が全体のスループットの向上に直結する。言い換えると、ラインの生産性(生産可能能力)はボトルネックの生産性に依存するという事となる。

ここで注意すべきはCやDのようにカタログスペックが高いプロセスの存在である。

遊ばせておくのはもったいないと、CやDをフル回転させてしまうと上述の通り仕掛在庫が大変な数で増えてしまい、ラインは返って混乱する。CやDなどの生産能力に余剰があるプロセスも、あえて「アイドルさせる(遊ばせる)」事で、かえって生産性が上がるという事になる。ここ、私も目からウロコだった。「生産性のワナ」とでも呼べばよいのだろうか、CやDなどが「遊んでいる」と、つい「勿体ない」と感じで遊ばせず作らせてしまうものだろう。

全体の生産性を上げるために、時として、あえて余剰能力を遊ばせることが必要。という事なのだ。

理論としてはかなり面白いし、製造業、工場などの生産現場では取り組むべきテーマでもあろう。

◆地場型中小建設業でのTOC?

この書の中では「企業は儲け続け、利益を出すために存在する」というのがテーマになっている。

世の企業と言うと、大概がこのテーゼ(企業は儲け続け、利益を出すために存在する」に依るのではないかとも思う。

しかしながらアンチテーゼではないが、「儲け続け、利益を出す」事の他に、「存在し続け、地域を支える」ために存在する企業がある、という事も事実なのだ。

地場型の中小建設業もまさにこのカテゴリーに属する。「儲け続け、利益を出す」事で税金を支払うという機能/存在理由もある。さらに加えて、地域の雇用を支え、地域の経済の循環のポンプ役となり地域を支えるという機能/存在理由もあるのだ。この点が意外に見落とされ、理解がされていないことも多い。

私自身も微力ながら、この「見落とされ、理解がされていない」地場型中小建設業のアピールや再定義に腐心したこともある。

こうした、「地域経済の循環ポンプ役となり、地域を支える」という役割の場合、利益「だけ」を追求する方向性とは少々立場がことなる。つまり雇用を確保するためにプロセスCやプロセスDをフル回転させる・・・・という経済合理性に反するTOC理論に真っ向から対立する、立場にもなりうる。という事だ。

◆経済合理性と地域経済の狭間で

昨今のスマホ普及率に代表されるインターネットの爆発的普及は、世の中を劇的に変えてくれてしまい、「中抜き」を大いに伸展させてくれてしまった。

Amazonがその最たる例で、Amazonは地域の中小の書店の存在価値を無くしてしまった・・・

首都圏ではおそらくこのTOCに代表される経済合理性が優先されるだろう・・・というより、恐らくすべてに近いだろう。企業は競合に勝ち生き残り利益を出す・・・そのために存在する。と、私は東京勤務時代に肌で感じていた。

しかしながら首都圏以外の地方では、勿論経済合理性を優先させる事も勿論なのだけれども、地元の経済を少しでも活性化させるために、経済合理的ではない存在着を発揮しているところがある。少々納期はかかるけれど、品揃えは悪いけれど、地場の書店に足を運びそこで「本を発注する」それで書店が生きながらえる(事もある)。

TOC理論は、地場型中小建設業の存在意義(価値)と経済合理性の狭間にあり、二者択一、生産性のあくなき追及だけでは計れない存在と、どう並存させるか。

 

 

これは発表以来20年を経過しても、まだ、解決が導けない、古くて新しい問題だと再読して改めて感じた。

基本的には全てのビジネスマンにおすすめしたい「気づきの良書」ではある。

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このページは、yo4が2022年11月 7日 21:56に書いた記事です。

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